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Aug 19, 2011

警告:カナダや米国(アメリカ合衆国)といった北米への避難には慎重な調査が必要

アラスカ湾に近いカナダ・アルバータ州のルイーズ湖(※2011.12.22:地図リンク差替え)付近で、個人の測定値ではあるが、2011年7月12日(火)に車の窓ガラスに降った雨滴を拭き取ったナプキンから最大で1時間当たり1.68マイクロシーベルト(1.68μSv/h)という高い放射線量率が測定される様子を伝えるビデオがYouTubeに公開されている(英語ページ、ビデオ公開は7/18)。冒頭の写真はそのビデオの画面キャプチャだ(ロシア製なので日本と異なり小数点が「.」(ピリオド)ではなく「,」(カンマ)になっているので注意)。カナダの東海岸への避難には慎重な調査が必要だ。

先日の記事「米国フィラデルフィアで新生児死亡率が48%上昇」では米国の西海岸と東海岸(つまり米国全土)におけるリスクに言及したが、これらを合わせるとカナダや米国(アメリカ合衆国)といった北米への避難には慎重な調査が必要であると警告せざるを得ない

下図は福島、ルイーズ湖、フィラデルフィアの位置関係を地図上に示したものだ。この図は日本の原発事故が偏西風によって北半球の広大な範囲に深刻な影響を与えている事を示唆している。


(※2011.12.22:地図画像差替え)

下記は測定ビデオとその投稿者によるオリジナル記事(いずれも英語ページ)だ:

CRMT- connectingdots1 finds Dangerous Radioactive rain in Lake Louise, AB (1.68 mcSv-hr)(英語ページ)

http--enenews.com-video-1-68-%C2%B5svhr-detected-in-canadian-rain-water-sample-geiger-counter-display-reads-dangerous-radiation-background(英語ページ)

測定に使用されているのはロシア製の放射線測定装置 Ecotester SOKES 01M(白色地に緑色枠)のようだ(下図)。

この放射線測定装置は比較的安価であり、USB接続することでパソコンとのデータ連携が可能となっている。国内でも多くのユーザーがいるようだ。ビデオ投稿者はビデオ中でオークションサイト「e-bay」からの購入を勧めているが日本人にはなじみが少ないだろう(末尾にアマゾンへのリンクを示すので興味のある方はそちらからどうぞ)。

この機種はGM管方式を採用しておりβ線・γ線の合計を測定する。

この機種は他機種と比較して高めの数値(数倍程度)を出す事も多いようだが、それを差し引いても1.68μSv/hという値は尋常ではない。仮に他機種の4倍として4で割っても0.42μSv/hであり注意が必要な数値だ。

また、車の窓ガラスに降った雨滴を拭き取ったナプキンを測定したということから、それ以前に降下した放射性物質の累積となっている可能性もあるが、それを考えてもやはり高い数値だと思う。

最後に、測定の概要をビデオ中の映像や音声(英語)から分かる範囲で説明しておく。
・ルイーズ湖のガソリンスタンドから9.3km付近で道路脇に駐車。
・頻繁に車両が行き交う往来の激しい道路。
・天気は曇りでやや霧雨。
・車内で測定した背景放射線量率は 0.18~0.21μSv/h 程度。
 →この時点ですでに放射線量率が低いとは言い難いが、機種のくせを考えると微妙なところ。
車の窓ガラスに降った雨滴を拭き取ったナプキンをビニール袋に入れ、その上にビニル袋に入れた測定器をべた付け。
・測定器を置くや否や警報音が鳴り始め数値が上昇する。
・5分34秒付近に最大で1時間当たり1.68マイクロシーベルト(1.68μSv/h)を表示する。


参照記事:
海外の妖しい Blog 記事から カナダのルイーズ湖付近の雨水から 1.68マイクロシーベルト毎時の放射能を検出か?

関連記事:
福島原発の事故後に米国フィラデルフィアで新生児死亡率が48%上昇/水道水にヨウ素-131の雨が混入か


※2011.09.01(木)17:08追記:
他にも同様にカナダ・エドモントンで高い放射線量率(1.14μSv/h)を計測したビデオが公開されていたので下記に紹介する:
CRMT- Edmonton sees HIGH Radioactive levels in Rain...again! (1.14 mcSv-hr) - YouTube

※2011.09.06(火)03:55追記:
シミュレーションによる解析でも北米の放射能汚染が懸念されている事が分かった。北米の汚染は九州より深刻だと思う。
参考:
Simulation Map of Cesium-137 Deposition Across the Pacific by CEREA Shows Contamination in US Greater Than That of Western Japan EX-SKF

※2011.12.22(木)10:40追記:
・ルイーズ湖(Lake Louise)の地図リンクおよび地図画像をU様のコメントのご指摘に基づきアルバータ州(Alberta State)のものに修正(差替え)した。修正前はユーコン準州(Yukon Territory))のものを掲載していたが中村の確認不足で誤りであった。
U様のコメントでは下記リンクが参照用として提示されている:
Health Canada's Radiation Monitoring Data
これはカナダ政府による公式測定である。このデータから本件に最も近いと思われる7/13のカルガリーの被曝線量を見ると0.58μSv/day(約0.024μSv/h)となって、冒頭の1.68μSv/hと比べ非常に低い。相互に矛盾するデータであるが、測定条件の違い(天候、測定機器の仕様など)を詳細に比較できないため現時点での判断は保留する。
・北米への放射能の影響に言及した新たな記事があったので紹介する:
机の上の空 大沼安史の個人新聞 〔★ フクシマ・NEWS〕 フクイチ発放射性降下物の影響で、アメリカ人、乳児ら1万4000人(推定)死亡 事故後最初の14週の間に チェルノブイリ(17週で1万6500人死亡)に匹敵 米研究チームが学会誌に発表

※2012.01.21(土)15:55追記:
下記の関連記事を掲載した:
要検証:フクシマ由来の放射性物質が南半球に到達か(オーストラリア東海岸0.8μSv/h、ニュージーランド南東海岸0.33μSv/h)

※2012.02.10(金)18:41追記:
下記の関連記事を掲載した:
警告:米国北部バーモント州の湖と川で魚から微量(1キログラム当たり2ベクレル程度)のセシウム137とストロンチウム90を検出



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Comments

いつもこちらのブログを拝見させて頂いてます。

このyoutube動画ですが、私はこの投稿者が何かのトリックを使っていると疑っています。まず第一に車外の水滴とは言え、1マイクロシーベルト以上もあるのに、車内がたった0.2usv前後とは不自然です。ガラスやボディはβ線を若干減衰するとしても、γ線は殆どさがりません。使用機種の性能を指摘されるかもしれませんが、この機種はそれほど品質の悪いものではありませんので、ある程度信頼出来ます。 以前、彼のアップしたビデオではウラニウムだったか、ラディウムかのサンプルを使って計測するシーンがありました。今回はシートのしたか何かにそれを隠して計測していたのではないでしょうか? 因みに、カナダは平均して線量が高い地域です。0.2がアベレージでも自然ですし、カナダでは今回の事故を受けて線量が上昇したという話はカナダ人達でさえ聞いてません。それにガイガーカウンターを持っているカナダ人は彼だけではありませんし。 外国人の間ではこのビデオの投稿者の目的は金であると、結論つけています。説明文に寄付を求める内容がありますし、細かな詳細について質問をしても返答をしないそうですし。

Posted by: 広島市民 | Sep 08, 2011 at 05:12 PM

記事拝見しました。何点か指摘させていただきたいのですが、まず、レイクルイーズはアルバータ州です。http://g.co/maps/ybfu9 データに関しては他のデータ源と整合性があるかを確認した方がよいと思います。例えばhttp://www.hc-sc.gc.ca/hc-ps/ed-ud/respond/nuclea/data-donnees-eng.php#ddrl_apr2011
次に、フェラデルフィアの件。乳児死亡率の増加データは統計的に有意であることを確認しましたか?また、福島原発との因果関係については何も証明されていないように思います。
最後に、CEREAのシミュレーション。サイトにも本シミュレーションの結果はPreliminary(予備的)なものであり、実際の結果は大きく異なる可能性があることが注記されています。「北米の汚染は九州より深刻」の結論は早すぎだと思います。

Posted by: U | Sep 19, 2011 at 02:35 AM

広島市民 様
U 様

ご指摘ありがとうございます。

こちらでも調査し、はっきりした部分については近日中に追記等で対応したいと思いますが、すぐ決着がつかない部分も多いため、「警告」はまだ外すべきでないと考えています。

Posted by: 中村友一 | Sep 19, 2011 at 08:15 AM

U様

ご指摘のルイーズ湖について修正しました。記事末尾に関連情報を追記しています。ご確認ください。

Posted by: 中村友一 | Dec 22, 2011 at 10:44 AM

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