恣意的な不検出(ND)の設定に対する防衛策
この記事は先日(8/3(水))掲載したセシウム汚染メロンの記事の関連記事であり、同記事に投稿された「通りすがりのななし」さんのコメントに対する返信でもある。
・「通りすがりのななし」さんのコメント:
>また、わかってて書いているのかとは思いますが、決して暫定基準(500Bq)以下=不検出ではありません。ネットで誤解をしている人が多いので、あまり誤解を招くような書き方はしないでください。検出限界値以下を不検出と表示しているのです。(ただし、検出限界値は20Bqの検査機関もありますが…。)
実は不検出(ND)の解釈に関しては別の記事のコメントでも同様の指摘があった。
このときもいろいろ悩んだが、恣意的な不検出(ND)の設定に対する防衛策として同じ表記のまま訂正していない。
ご指摘の通り、不検出(ND)というのは現時点では暫定基準(500Bq/kg)を指していないと思われるが、これは何ら保証されていない解釈だ。
「検出限界値は20Bqの検査機関もあります」の 20Bq/kg に対して、どの検査機関が 20Bq/kg と設定しているのか、なぜ 20Bq/kg なのか、いつから 20Bq/kg なのか、これからずっと 20Bq/kg のままなのか、といった情報が全く公開されていない。
つまり、消費者が知らない間に 20Bq/kg が 200Bq/kg になっているかもしれないし、もっと上がっているかもしれないということだ。
公表されたメロンの測定値の不検出(ND)についても、どこにもその設定についての説明が記載されていない。問い合わせたら教えてくれるのかもしれないが、これはそもそもデータ公開時に同時に示されるべきでは無いのだろうか。知りたければ聞けという時点で著しく恣意的だ。
セシウム汚染メロンの記事で示した測定結果には「不検出:定量下限値(0.1 Bq/kg)以下」と示されており明快だが、記者発表などで出てくる公表データでは何故かこのような記載がほとんど無い。
現在まだ調査中のため詳細は書けないが、この件は調べれば調べるほど恣意性が明らかになる。消費者側の防衛策として、不検出(ND)は暫定基準の 500Bq/kg という前提で考えるのが妥当だ。
以上の見解より、ご指摘の不検出(ND)に関する記述は現状のまま訂正しない。この見解は状況が変化しない限り変えないつもりだ。
※関連記事:
・京都市は学校給食に使用される農産物の放射能検査を実施
・北九州市内のスーパーに茨城県産メロン(2011年6月)
・北九州市内のスーパーで2011年6月25日に購入した茨城県産メロンから極微量の放射性セシウムを検出/茨城県産メロンのように甘い政府の暫定基準をすり抜けて流通
・「セシウム汚染メロン」実はスクープか:茨城県産メロンの放射性セシウム検出は初めて/国産メロンで過去最大値の放射性セシウム(これまでの最大値の5.1倍)
« 「セシウム汚染メロン」実はスクープか:茨城県産メロンの放射性セシウム検出は初めて/国産メロンで過去最大値の放射性セシウム(これまでの最大値の5.1倍) | Main | メモ:セシウムさん映像のまとめ/怪しいお米、汚染されたお米、セシウムさん »
「放射能対策」カテゴリの記事
- スイス・メテオメディア社のシミュレーション画像に「カラーバー」混入(2012年08月26日)(2012.08.27)
- 肺がん症例の16%はラドンガスの可能性(カナダ保健省の研究/2012年8月17日付け「ナショナル・ポスト紙」より)(2012.08.17)
- チェルノブイリ由来か?日食プレミアムピュアオートミールから1キログラム当たり7ベクレルのセシウム137を検出(2012年8月1日/香港食物環境衛生署食物安全センター)(2012.08.02)
- 警告:明後日2012年5月23日(水)未明に放射能が九州北部に到達の恐れ(2012.05.21)
- 北九州市長・北橋健治様:出席督促書に不服です/家庭での内部被曝を放置して「食育」を主張する教育委員会から2回目の出席督促書(2012年03月13日付け)(2012.03.15)
The comments to this entry are closed.
Comments