北九州市内のスーパーで2011年6月25日に購入した茨城県産メロンから極微量の放射性セシウムを検出/茨城県産メロンのように甘い政府の暫定基準をすり抜けて流通
北九州市内のスーパーで6/25(土)夕方に購入した茨城県産メロンについて、検査機関に測定を依頼していたが、本日(8/3)午後、極微量の放射性セシウム(セシウム-134:1キログラム当たり約0.66ベクレル、セシウム-137:1キログラム当たり約0.73ベクレル)が検出されたと明らかになった。上の画像は測定結果の一部。
同時期に北九州市内のスーパーで茨城県産メロンを購入してお食べになった方は、大変残念ながら極微量の放射性セシウムを摂取した可能性が高い。そして、今回は検出されていないが、放射性ストロンチウムその他の人工放射性核種を摂取してしまった可能性も考えられる。
読者の中には「たったそれだけの被曝で大騒ぎするな」等の異論もあるだろうが、何かあればコメント欄かメールにてお送りいただきたい。
検査機関から送られて来た測定結果:
(測定結果ここから)
○分析方法:
試料を細切しマリネリ型の容器(500ミリリットル)に入れ、Ge半導体検出器(キャンベラ BE2825、相対効率 15%)で測定。
○試料に含まれる放射性核種:
・ヨウ素-131 :不検出
・セシウム-134:0.66±0.05 Bq/kg
・セシウム-137:0.73±0.05 Bq/kg
・カリウム-40 :43±3 Bq/kg
※不検出:定量下限値(0.1 Bq/kg)以下。
※カリウム-40は天然放射性核種。
測定結果のファックスをスキャンしたものは下図の通り:
※事情により依頼者・測定者は伏せてある。
(測定結果ここまで)
上記数値はあくまで私が購入した単品の測定結果であり、他のメロンの数値はこれより高いかもしれないし低いないかもしれない。
公表されているメロンの測定値(→本日(8/3)時点のページを保存したPDF、162KB)によると、すべての検査でND(不検出)となっているが、これは今回の測定結果で示した不検出とは異なり、政府の定めた暫定基準に対して不検出ということのようだ。他のメロンについても、政府の暫定基準内で放射性セシウムを含んでいた可能性がある。
私が購入した茨城県産メロンは「茨城県産メロンのように甘い政府の暫定基準」をすり抜けて北九州市まで流通して来たものだった。
※検査に使われた「Ge半導体検出器(キャンベラ BE2825、相対効率 15%)」は米国製のγ線検出器のようだ。検査機関の公式ホームページにそれらしい写真があったのだが小さくて非常に見辛かった。それを無理矢理拡大したものを下図に示す:
※「マリネリ型の容器」とは「ゲルマニウム半導体検出器のセンサー部分(エンドキャップ)がすっぽり入るようなくぼみを設けた測定容器」(環境放射能を測る:財団法人 日本分析センター・Japan Chemical Analysis Center)を指すようだ。
以下、検査機関に測定を依頼するに至った経緯を述べる。
7/21(木)午後、私のブログ記事を読んだという方(以下、H氏と呼ぶ)から電話とメールで相談を受けた。
H氏は茨城県から某県に避難された方で、私が北九州市内で購入したのとほぼ同時期の茨城県産メロンを摂取したところ直後から著しい体調異常を起こしたそうだ。
大病院などに相談しても原因不明で、1ヶ月以上に渡って重い症状に苦しまれている。
H氏は、もしやメロンが原因ではないかと思い、検査のため茨城県産メロンを入手したが、時期が1ヶ月も異なるため、6月のほぼ同じ時期のものを探した。そして、同時期に購入して冷凍保存していた私のメロンをブログ記事で知り、検査のため提供して欲しいと思い相談して来たということだった。
話し合いの結果、検査結果や経緯についてご提供いただき、かつその情報を私のブログ上で公開して良い、という条件で私からメロンを無償提供することとなった。
検査費用はH氏が負担し、私はメロンの現物と送料(私から検査機関へ直接送付)を負担することに決まり、早速その日(7/21)の夕方までにクール宅急便で発送した。
上図は7/21(木)の夕方、発送する直前に撮影したメロン(カチカチに冷凍された状態)の写真だ。
○その後の経過:
・7/22(金)午後、H氏が検査機関を訪れて測定を依頼。
・7/25(月)、私が送ったメロンを検査機関が受領。
・7/26(火)、検査機関が測定結果を発行。
・8/03(水)(本日)、測定結果がH氏のもとに速達で届く。午後になって私に連絡があり、私はファックスで測定結果を受領。
H氏が別途入手した1ヶ月時期が違うメロン(つくば市で購入)の測定結果は下記の通り:
(測定結果ここから)
○分析方法:
試料を細切しマリネリ型の容器(500ミリリットル)に入れ、Ge半導体検出器(キャンベラ BE2825、相対効率 15%)で測定。
○試料に含まれる放射性核種:
・ヨウ素-131 :不検出
・セシウム-134:0.28±0.05 Bq/kg
・セシウム-137:0.29±0.05 Bq/kg
・カリウム-40 :71±2 Bq/kg
※不検出:定量下限値(0.1 Bq/kg)以下。
※カリウム-40は天然放射性核種。
測定結果のファックスをスキャンしたものは下図の通り:
※事情により依頼者・測定者は伏せてある。
(測定結果ここまで)
私が購入したものより数値は低いもののの、つくば市で購入された茨城県産メロンも極微量の放射性セシウム(セシウム-134:1キログラム当たり約0.28ベクレル、セシウム-137:1キログラム当たり約0.29ベクレル)が検出された。
H氏は回復しつつあるものの、まだ体調異常が続いているそうだ。測定結果を見る限り、H氏の著しい体調異常は少なくとも放射線に起因するものではなさそうだ。しかし、鼻血の記事でも言及したように、セシウムやストロンチウムの化合物による化学毒性が影響しているかもしれない。H氏はこれら金属化合物の化学毒性による影響かどうか、近日中に改めて病院に相談に行くとの事であった。
本件は新たな情報があれば続報をお伝えする予定だ。
関連記事:
・北九州市内のスーパーに茨城県産メロン(2011年6月)
・北九州市内で最近になって鼻血が多いお子さんがいたら今すぐ詳細な記録を残して欲しい
※2011.08.06(土)20:58追記:
「通りすがりのななし」さんのコメントのご指摘を元に、下記2件の関連記事を掲載した(この2件の記事は同コメントへの返信でもある):
・「セシウム汚染メロン」実はスクープか:茨城県産メロンの放射性セシウム検出は初めて/国産メロンで過去最大値の放射性セシウム(これまでの最大値の5.1倍)
・恣意的な不検出(ND)の設定に対する防衛策
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Comments
さすがに気にしすぎでは…なぜならこの程度の微量の放射性物質は、事故前から食べ物に含まれているからです。http://www.kankyo-hoshano.go.jp/study_flash.jsp?runmode=3
ここで調べてみてください。
また、わかってて書いているのかとは思いますが、決して暫定基準(500Bq)以下=不検出ではありません。ネットで誤解をしている人が多いので、あまり誤解を招くような書き方はしないでください。検出限界値以下を不検出と表示しているのです。(ただし、検出限界値は20Bqの検査機関もありますが…。)
ちなみに、私は原発推進派ではありません。むしろ、事故後に放射能が怖くて怖くて自分で原発関連のデータを色々調べている者です。
個人で食品の測定を依頼して、ネットで画像付で公開することはとても意義のある事だと思います。
Posted by: 通りすがりのななし | Aug 04, 2011 09:41 PM
通りすがりのななし さん、コメントおよびご指摘ありがとうございます。
ご指摘を元に関連記事を2件掲載しました。この記事の末尾に追記として当該記事へのリンクを記載しています。この2件の記事はコメントに対する返信でもあります。ご参照ください。
また何かお気づきの事があればお知らせください。
Posted by: 中村友一 | Aug 06, 2011 09:00 PM