炉の中の核種大海を知る、親の説教と放射能はあとで効く、など某巨大掲示板に投稿された詠み人知らずの原発事故名句
某巨大掲示板の投稿で詠み人知らずの原発事故名句を見かけた。以下、一句ずつ解説しながら紹介する:
・不屈しま ふくしま
震災以前からある「うつしま福島」という県民運動のキャッチコピーの改変。震災津波原発の三重苦にも屈せず復旧をめざしたいということから「不屈」とされたようだ。後ろ向なバージョンで「鬱くしま福島」というものもあった。
・匙は投げられた
古代ローマのカエサルがルビコン川を渡河し謀反が確定する直前に言ったされる「賽は投げられた」と、医者が治療をあきらめた状態を表す慣用表現「匙を投げる」を合体したもののようだ。政府によって見捨てられた被災地の惨状を皮肉っている。
・きちがいに刃物 東電に原発
「きちがいに刃物」という慣用句の後に「東電に原発」を追加することで東京電力を批判したもの。
・炉の中の核種 大海を知る
「井の中の蛙 大海を知らず」という故事成語の改変。本来なら原子炉内に閉じ込められているべき放射性核種が太平洋に流出したことを皮肉ったもの。
・知らぬとお陀仏
「知らぬが仏」という故事成語の改変。放射能汚染に関しては、この故事成語の元の意味と反対で、知らないと命にかかわる、という皮肉。
・親の説教と放射能はあとで効く
「親の説教と冷や酒はあとで効く」という俗語表現の改変。「ただちに」影響がなくても、長期間の後に深刻な健康被害を引き起こす危険を持った放射能(特に内部被曝)の恐ろしさを警告したもの。
・被曝道連れ、世は利権
「旅は道連れ世は情け」という故事成語の改変。放射能に被曝した地域がお金のために危険な汚染食品などを出荷してしまう現状を嘆いたものと思われるが、他の意味も含まれているようだ。
・二億四千万の被曝
「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」(郷ひろみ、1984年)というヒット曲のタイトルの改変。大規模な放射能汚染であることから、世界中にこのくらいの被曝者を出すという警告を込めたものと思われる。楽曲そのものや歌詞の内容との関連性は特に見当たらない。
・知らぬは国民ばかりなり
妻の浮気は周囲が気づいても当事者の夫だけが知らないことがあるという意味の「知らぬは亭主ばかりなり」という故事成語の改変。放射能汚染の実態を把握していた政府と、それを知らされなかった国民の関係を皮肉っている。
・かわいい子にはマスクさせよ
大切な子供であれば甘やかさず育てるべきだと諭す「かわいい子には旅をさせよ」という故事成語の改変。周囲の情報弱者から「変人」扱いされようとも、自分の子供を放射能の危険から防護する手段を講じるべきだと言う警告を込めたもの。
・国破れて TEPCOあり 浜 春にして 瓦礫高し ◎秀
「国破れて山河在り 城春にして草木深し」(杜甫「春望」)という漢詩の改変。国家を破綻させうるほどの危機において保身ばかり図る東京電力の体質と、そのために損害を拡大させられた「浜」(福島第一原発が含まれる「福島県浜通り」地域の愛称)には瓦礫が放置されているという状態を皮肉ったもの。最後の「◎秀」の由来は不明。
・備えあればアレバなし
「原発安全神話」(原発は絶対に安全)に基づき大規模な放射能漏れ事故が発生した場合の住民避難計画など重要な備えを怠ったことや、国内の大学や企業の技術を大切にしてこなかったために有事に即応できず海外(フランス)企業「アレバ社」などに大金を払って依頼することとなった愚かさなどを皮肉ったもの。
・あとは野となれ山となれ
「後は野となれ山となれ」という故事成語そのままだが、原発事故後の被災地が復旧作業もままならず放置され朽ち果てつつある状況を皮肉ったもの。
・わけいっても わけいっても ストロンチウム (山頭火
「分け入っても分け入っても青い山」という種田山頭火の名句の改変。
・ちりも積もれば20μSv
「塵も積もれば山となる」という故事成語の改変。放射性降下物によって地域によっては高い空間線量率になる危険があるという警告を発するもの。
・覆水 原子炉に帰らず
「覆水盆に返らず」という故事成語の改変。本来なら復水器から原子炉に戻ってくるはずの冷却水が原子炉の破損で失われて循環できず原子炉に戻らないという状況を皮肉ったもの。
・嘘も東電 急がば散水
「嘘も方便」「急がば回れ」という本来は別々の二つの故事成語を改変して合わせたもの。前者は公式発表で次々と虚偽や隠蔽を繰り返す東京電力の対応を皮肉っている。後者は原発事故直後にあわてて行われたヘリコプターからの散水のむなしさを皮肉ったもの。
・36㌔逃げるが保安員
「三十六計逃げるに如かず」(南斉書・王敬則伝)という故事成語の改変。原発事故が深刻であることを知った原子力安全・保安院の職員らが、現場付近に残る多くの作業員や住民を差し置いて、本来の拠点である「オフサイトセンター」(福島第1原発からおよそ5キロ)からおよそ50キロ離れた郡山市まで退避したことを皮肉ったもの。実際は50キロだがはごろ合わせで36キロというの表現に合わせたと思われる。
・隣の芝生はホットスポット
「隣の芝生は青い」(The grass is always greener on the other side of the fence. の訳語)という英語のことわざの改変。ホットスポット(飛び飛びに出現する高濃度の放射能に汚染されている地域)によって隣接する住宅でも空間線量率が大きく異なる事がありうるという危険を警告している。
以上、簡単だが解説を付けてみた。全て時事ネタを巧妙に取り入れた名句ばかりだと思う。各句はそれぞれ別に初出の出典があると思われるが、上記投稿には出典が無いため記載できない。今後の調査で分かれば次第追記したいと思う。しかし、ほとんどは永遠に「詠み人知らず」のままだろう。
以下は某巨大掲示板の引用箇所:
(引用ここから)
745 :既にその名前は使われています:2011/07/07(木) 16:43:27.93 ID:ZOQt6MKp
不屈しま ふくしま
匙は投げられた
きちがいに刃物 東電に原発
炉の中の核種 大海を知る
知らぬとお陀仏
親の説教と放射能はあとで効く
被曝道連れ、世は利権
二億四千万の被曝
知らぬは国民ばかりなり
かわいい子にはマスクさせよ
国破れて TEPCOあり 浜 春にして 瓦礫高し ◎秀
備えあればアレバなし
あとは野となれ山となれ
わけいっても わけいっても ストロンチウム (山頭火
ちりも積もれば20μSv
覆水 原子炉に帰らず
嘘も東電 急がば散水
36㌔逃げるが保安員
隣の芝生はホットスポット
(引用ここまで)
引用元:
福島原発が爆発しちゃったけど今後どうする 98京Bq
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1309014315/
「放射能対策」カテゴリの記事
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