北九州市内で最近になって鼻血が多いお子さんがいたら今すぐ詳細な記録を残して欲しい
北九州市内の小学校に通っている長女(4年生)の個人懇談会が一昨日(7/14(木))の午後あった。参加した妻が順番待ちのとき、左右に座っていたお母さん(二人とも長女と同じクラスの4年生の女児の保護者)から「最近鼻血が多い」「ほかの子も鼻血が出ている」と言う話を聞いたそうだ。
先日の記事「放射性セシウムが検出された千葉県流山市の焼却灰を北九州市のリサイクル施設がすでに受け入れ」で言及している通り、北九州市内にはすでに大量の放射性物質が存在しているが、その詳細が明らかになっていない。そのため、現時点では、鼻血との関連性を否定できない。
北九州市内で最近になって鼻血が多いお子さんはいないだろうか。もしいたら、発生日時・状況、お子さんの年齢・性別など、できるだけ詳細に記録しておいて欲しい。
放射性物質による低線量被曝が鼻血の要因となる可能性について、ネット上では完全に「デマ」扱いであり、否定的な見解が多い。詳細はネット上で多数の議論があるので省略するが、放射線の影響で鼻血が出るとしたら先に別の症状が出るはずであり、鼻血だけ発症するのはおかしい、という主旨のようだ。
しかし、金属セシウムは放射性が無くとも危険な物質であるにも関わらず、それについて評価されているケースがネット上ではほとんど見当たらない。
※参考ビデオ:金属セシウムが水と爆発的に反応する様子
上記ビデオは再生開始位置を1分13秒に指定(#t=1m13s)してある。全編はリチウム、カリウム、ナトリウム、ルビシウム、セシウムと、原子番号の少ないアルカリ金属から順に実験している(→全編を最初から再生)。
セシウムが実際にどのような化合物の形で飛来するか情報は無いが、以下では空気中の水分と反応し水酸化物(水酸化セシウム)になるケースが多いと仮定してみよう。硫化物その他の化合物の可能性もありうるが、空気中の存在比率は水分と比べ少ないと思われるので、現時点では無視する。
この仮定に沿って、水酸化セシウムのMSDS(化学物質等安全データシート)から関連しそうな毒性データ項目を一部抜粋してみよう:
・急性毒性:経口 マウス LD50= 570mg/kg
・皮膚腐食性・刺激性:乾いた結晶状態でウサギの皮膚に付けた場合Mildという報告(RTECS(2004)) もあるが、吸湿した場合、あるいは水溶液では著しい腐食性を示すとの記述(ACGIH (2001)) があるので区分1とした。ヒトに対して腐食性についての警告・注意が複数の文献に記載されている(ACGIH (2001), HSFS (1998), SITTIG(4th, 2002))。国連輸送勧告ではクラス8容器等級IIとされており(SITTIG(4th,2002)) 、輸送目的でのGHS区分は1Bとなる。
・特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露):区分1、区分2にすべき症例報告は見出せなかった。上部呼吸器(鼻、のど、気管)に対する刺激の記載がある(HSFS(1998), SITTIG(4th, 2002)) ので、区分3(気道刺激性)とした。呼吸器への刺激のおそれ(区分3)
※水酸化セシウムのMSDS(化学物質等安全データシート)(外部リンク、PDF/69KB)
→キャッシュ
このように、強アルカリ金属の化合物である水酸化セシウムは放射線の影響が無くとも毒性を持っている。否定するにせよ肯定するにせよ、その濃度と被曝時間によってどの程度の症状になるか検討が必要だ。
私はセシウム化合物が鼻血と関連する可能性を議論を続ける価値はあると考えている。放射線の影響についてのみ言及して鼻血との関連を完全否定しようとする議論は逆の意味でデマ(安全デマ)であり、無責任だ。
裏付けとなりそうな東京新聞の報道(2011.06.16)が見つかったので以下に引用する。
(引用ここから)
原発50キロ福島・郡山は今
大量の鼻血、下痢、倦怠感...
「放射線と関係不明」
子に体調異変じわり
収束の兆しさえ見えない福島第一原発の事故。放射線汚染の範囲は拡大し、避難区域の外側でも、子どもの健康被害を不安視する声が目立ち始めた。しかし体調不良と放射線の関係には分からないことが多い。それだけに親たちは疑心暗鬼で苦しむ。子どもたちを守るために今、できることとは―。
(出田阿生)
「上の子が一週間くらい毎日大量に鼻血が出続けていたので心配で...。下の子も、時期は違うけれど、やはり一週間くらい鼻血が出て」。思い詰めた表情で母親(三九)が、医師に相談していた。
NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」が十二日、福島県郡山市で開いた医師による無料問診会。放射線被害を心配する親子連れ計五十組が参加した。同市は福島第一原発から約五十キロ。
この親子の場合、震災後いったん埼玉県内に避難したが、三月下旬に郡山市に戻った。すると小学校一年の長女(六つ)が、四月上旬から三週間、鼻血が出続けた。このうち一週間は両方の鼻から大量に出血。耳鼻科で診察を受けたが、「花粉症では」と言われた。「花粉症なんて初めて言われたし、普段は滅多に鼻血を出さないんですけど...」と母親は言う。長男(二つ)も四月下旬から五月に鼻血を出し続けた。
診察した小児科医の橋本百合香さんは「放射線被害かどうかは判断できないが、ひとまず小児科で血液検査をして白血球を詳しくみてもらって。記録を残すことが大事」と助言した。
母親によると、小学校ではクラスの一割が避難していなくなった。次々と児童が転校するので、新入生には出席番号がつけられていない。放射性物質が濃縮されやすい牛乳を給食で出すかどうか、学校ごとに対応が異なる。「うちは保護者の選択制。娘が仲間外れにされたくないというので、今は飲ませてます」
福島市から四カ月の長女咲空(さくら)ちゃんを連れてきた平中昭一さん(四〇)は「症状は出ていないが、二十四時間不安で、外出を一切させていない。自衛といってもどうしたらいいのか」と苦悩の表情。生後、他人をほとんど見たことがないという咲空ちゃんは、記者が近づくとおびえた。
問診会場近くの植え込みで、放射線測定器をかざすと、毎時二・三三マイクロシーベルトの値を示した。地面から離すと一マイクロシーベルト台に下がる。郡山市内の十二日の最大値は一・三八マイクロシーベルト。東京都内で計測された同日の最大値が〇・〇六三五マイクロシーベルト。約二十二倍だ。市内の最大値は三月十五日の八・二六マイクロシーベルトで、五月中旬からは一・三マイクロシーベルト前後で推移している。
文部科学省では三・八マイクロシーベルトが計測された学校では屋外活動を制限するとしているが、一方で年間の積算線量の子どもの上限値を一㍉シートベルトから二〇㍉シートベルトとしている。これは毎時一・三マイクロシーベルトの場所で一年間暮らせば十分に到達してしまう値でもある。
「医者や学者も言うことが違い、避難の基準が分からない。飯舘村は一カ月も放射能を浴びさせて、値が低くなってから避難させた。国も県も信用できない」。長男(六つ)を連れた母親(四〇)は、こう憤る。自宅は新築。避難して経済的にやっていけるのか、何年後に戻れるのか...。費用や子どもの心に与える影響を考えると踏み切れない。
毎時線量(マイクロシーベルト)と年間積算線量(ミリシートベルト)
毎時1.3マイクロシーベルトの場合、これに8760時間(24時間×365日)をかけた1万1388マイクロシーベルトが年間積算線量。単位を直すと11.388ミリシートベルトとなる。「9をかけてマイクロをミリに直す」と覚えると簡単におおまかな年間積算量が分かる。
東京新聞こちら特報部(2011.06.16)
※キャプチャ画像は「福島県の子供たちに体調異変が出始めている可能性 <放射能の影響を受けやすい子供達> 東京電力放射能拡散中」に掲載の画像にヘッダーを追加したもの。
※テキストは「大量の鼻血、下痢、倦怠感... こどもに体調異変 ~福島・郡山」に掲載のものと上記画像を見比べ、誤字訂正と改行位置の修正や機種依存文字の変換などを行ったもの。
(引用ここまで)
チェルノブイリで記録された被曝の初期症状も参考になるかもしれないので以下に引用する:
(引用ここから)
入院指令票に記されていた入院理由は,たとえばつぎの通りである.
第2度急性放射線障害
甲状腺からの放射線レベル-10~16ミリレントゲン/時
全身の衰弱,頭痛,腹痛,吐き気,おう吐,下肢のむくみ
汚染地域の幼児
放射線量上昇地域の滞在と血液検査値の変化(白血球数2500)のための検査入院
吐き気,おう吐,唾液分泌の増大,甲状腺からのガンマ線3000マイクロレントゲン/時以上
放射能汚染,甲状腺3000マイクロレントゲン/時以上
白血球減少:白血球数2300,頭痛
放射能汚染との結論で救護所から転送.甲状腺3ミリレントゲン/時以上,白血球数2900
事故時にチェルノブイリ原発から300mの地点に滞在,白血球数2900
放射能汚染,肝臓5~10ミリレントゲン/時,甲状腺1.5ミリレントゲン/時
顔,手首の放射線火傷
放射線障害,鼻血
(引用ここまで)
ただし、この例は急性症状が出るほど高い線量を受けたり高濃度の放射性物質と接触したりしているので、ここで単純に同列に論じることはできないかもしれない。
以上、「まさか」とは思うが、こういう話は先手を打って警戒しなければならないので、情報が不確定な状態だがあえて問題提起した。私の主張はもしかすると後で笑い話になるのかもしれないが、笑い話になってくれれば、これほど嬉しい事は無い。
関連記事:
・放射性セシウムが検出された千葉県流山市の焼却灰を北九州市のリサイクル施設がすでに受け入れ
※2011.07.21(木)19:04追記:
関連記事「北九州市内在住の小学校4年生の長女が鼻血(2011.07.21(木)夕方)」を掲載した。
※2011.07.21(木)20:09追記:
福島第一原発の事故では大量の海水を注入していた。海水中の塩素と化合して塩化セシウムとなっている可能についても検討すべきだろう。また、原子炉からはセシウムとほぼ同量のストロンチウムが放出されると言うことなので、塩化ストロンチウムも併せて検討してみよう。対照データとして塩化ナトリウムも検討する。
以下、MSDSから抜粋:
○塩化セシウム
・有害性:吸入,皮膚接触及び飲み込むと有害である。
・急性毒性:経口 マウス LD50(50%致死量)2306 mg/kg
○塩化ストロンチウム
・有害性:眼,皮膚を刺激する可能性があり,また,吸入,摂取
及び皮膚より吸収すると有害の恐れがある。
・急性毒性:経口(マウス) LD50 1874mg/kg
○塩化ナトリウム(対照データ)
・有害性:(記載なし)
・急性毒性:経口(マウス)LD50 4000mg/kg
※参照資料:
・塩化セシウムのMSDS(化学物質等安全データシート)(外部リンク、PDF/69KB)
・塩化ストロンチウムのMSDS(化学物質等安全データシート)(外部リンク、PDF/69KB)
・塩化ナトリウムのMSDS(化学物質等安全データシート)(外部リンク、PDF/69KB)
これらを見る限り、塩化物の毒性は水酸化物より弱いようだ。
比較のため、もう一度水酸化セシウムを挙げておく:
○水酸化セシウム
・急性毒性:経口 マウス LD50= 570mg/kg
その他の化合物についても情報が見つかれば追記する。
※2011.07.24(日)23:50追記:
関連するテーマの記事があったのでメモとして紹介する。ただし、疫学的な検証にはなっていないので、結論を出すことはできない。あくまで参考情報として読んで欲しい。
・関東全域で健康被害広がる〜500件の異変報告 トリプルライフ
(外部リンク)
※2011.08.01(月)06:23追記:
関連記事:「北九州市が流山市から受け入れた焼却灰に含まれる放射性物質の98.8%は流出済みと推定/関門海峡は「死の海」、戸畑の空は「死の空」か」を掲載した。
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