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Jul 25, 2011

メモ:武田邦彦氏講演会(福岡県うきは市/2011.07.25(月))

本日7/25(月)午後に福岡県うきは市で開催された武田邦彦氏講演会(うきは市商工会主催)を聞いてきた。上の写真は開演前に撮影した会場(うきは市民文化会館)の入り口の様子。会場は田園風景の広がる中にある。場所が分かりにくかったので少し迷った。

駐車場には佐賀、大分、熊本、千葉、などなど、他県ナンバーも多数あった。講演後は帰りの車で駐車場の出入り口が大混雑した。上の写真は駐車場で見つけた福島ナンバー(帰りに撮影したもので、ナンバーを一部削除している)。

入り口で住所氏名を記入して入場。講演の撮影・録音等は一切禁止。会場内の飲食も禁止。

会場の様子(開演前):
広いホールが8割くらい埋まった状態だった。ホールの収容人数を確認したところ、「観客席618席、車椅子席4席」(合計622席)であった。数百名が参加していたと思われる。子連れのお母さんの姿が多数、途中で子供が泣きだして退席する姿もあった。

前後のあいさつ等を省いた正味の講演+質疑応答で1時間35分間(15:06~16:41)。

ノートPCを開き講演内容を速記よりやや劣るくらいのレベルで入力&ホワイトボードに描かれたイラスト等8点を紙に手描きでメモした。

以下、中村個人の好き嫌いで適当にまとめたメモである。講演内容を忠実に再生したものではないのであしからず。

所々でテレビにもブログにも出ていない「講演でしか言わない」といった内容もあったが自主規制して書かない。


(講演内容の紹介ここから)


○講演

・「九州電力の手先では無いが」と前置きした上で、九州電力が電源と配電を整備することで、山間部も離島もある九州の電気コストを下げてきた点を評価。

・福島原発の事故は原子力発電の利点を打ち消すくらいひどいものだった。

・今度の原発事故は外国人から見ると信じられない。技術が素晴らしくて慎重な民族で地震があることが分かっている、それなのになぜ日本であんな大きな事故が起こったか理解できない。

・原発については独自の事を云うのは控えて一般的な事だけを言う。

・安全な原発は賛成(すぐ上の話と矛盾しているような気もする)。

・2007年くらいから日本の原子力発電所は弱くなってきた。はたから見ているとだんだんダメになって行った。講演会だからズバッと言うと全ては○○で崩れた【○○の中身とそれ以降の話は自主規制で削除】。

・原発事故が起きたら遠くに逃げるのが一番良くない。風下の人は逃げても追ってくる。風下じゃない人は逃げても逃げなくても関係ない。放射線のチリは300kmは必ず行く。遠い近いは関係ない。放射線からは横に逃げる。マスクをしていればあまり被曝することは無い。

・静岡のお茶は一度東京に落ちたものが風の強い日にもう一回飛んで静岡のお茶についた。

・今度の放射線漏れはすごい量。10億ベクレル位漏れるのが普通の事故。あまりたいしたことはない(周辺は大変だが日本では大したことない)。今度漏れた量は100京ベクレル。特別な量。

・魚が心配。ホウレン草は歩かないから分かりやすい。牛など動くものは難しい。人類史上初めて海に漏れた。海に10京ベクレル漏れている。魚は動くからどうなるか分からない。昆布はひどい。

・チェルノブイリではほとんどの人が牛乳で甲状腺がんになった。

・結果的にはソ連の方が日本政府より誠実だった。

・放射線の影響で医学的に分かっているのは100mSvを超える範囲。100mSv以下はどうなるか分かんない。国際的にはすったもんだの末、安全な線量ではないが、1億人に5000人くらいが我慢が出来る被曝量となった。これが1年に1mSv。パリ宣言。医学的に決まるなら宣言じゃない。コンセンサス。それから21年。割と正しかった。各国であまり変な事は起こらなかった。外国のペットボトルや工業製品も安心できるようになった。

・事故があったからと言って今になって1年1mSvを変えるのは危険。

・放射線による人体の害は設計図(DNA)を傷つけること。50歳以上はいい。女性と幼児が特に危ない。0.5歳から7歳の幼児、妊婦、将来子供を産もうとする女性は要注意。

・チェルノブイリでは7歳以上の子供にはあまり影響が出ないとされたが、それから14~5年たった2000年前後、被曝した子供が(大人になって)子供を産める年齢になって子供を産めないと分かった。

・男の30以上はまあいいかな。

・少しづつ拡散するから今年のコメから難しい状態になる。

・今後、日本は本当に原子力発電所でやっていくのか、それとも少し我慢して別のエネルギーでやっていくのか、国民が考える非常に重要な局面に達している。

・技術者は技術的にしかものを見てはいけない。原子力発電所は当面は止めて研究のやり直しをすべき。200年くらいは原子力発電所をやらない方がいい。技術者としての考え。最後は政治家が決める。

・自分の郷土を100年失う。チェルノブイリは25年経って自分の家に帰れない。大変な衝撃。

1年1ミリシーベルトはICRPの国際勧告であって武田の意見では無い。各国全部同じ法律。非常時は自分の意見を言っちゃいけない。非常時は覚悟決めてやるしかない。

・環境問題に関して:
「講演なのでちょっと独自の意見を」
「石油は無くならない」
「南極の氷は減らない」
「空気を温めても水は温まらない」
「日本人は不景気になるために幻想を抱いている、CO2を削減している」
「子供に職業(喰い口)を残す事が大人の最大の問題」
「日本はCO2じゃんじゃん出せ」
などなど、面白い話がたくさんあったが全て割愛。


○質問受付:
時間がないので質問は3人に限定。たくさんの手が挙がった(目測で十数人くらい)。司会者がその中から指名。

・1人目:
前の方の席、福岡市から若い女性。2つ質問。
(1)子供がいるが、食品の暫定基準が高く感じる。セシウムとヨウ素だけでストロンチウムなど心配。
(2)海外の専門家が水素爆発ではなく核爆発ではないかと言う話がある。プルトニウムが飛散しているとも言われる。東京に姉の子供がいる。報道もないが心配。本当のところはどうか。
回答:
(1)日本に基準値すら無かった。日本で原子力発電所が事故を起こると想定しちゃいけなかった。原子力発電所には救命ボートがなかった(さらに福島の農家の話など長々と説明があったが省略)。暫定基準値の10分の1くらいなら大丈夫。福島の子供たちを助けるためには、福島の野菜を我慢して食べるのではなく、福島に全然汚染されてない九州の野菜を送って食べてもらう(他にも話があったが割愛)。
(2)核爆発しても水素爆発しても一緒。多くの人が間違って書いているが絶対正しいから大丈夫。チェルノブイリの2回目の爆発は25年経った今でも水蒸気爆発か核爆発か、どちらか分からない。出てくるものも規模もはほとんど同じ。原子炉の中は爆発する前まで核爆発しているから。水素爆発、水蒸気爆発、核爆発は原子炉で何が起こってもあのくらい。プルトニウムとストロンチウムは測定していないが必ず出ている。東京は住めるかどうかギリギリ。

・2人目:
後ろの方の席、北九州市から若い男性。避難の話があったが、先々週に北九州市で凄い発表があった。北九州市はすでに放射能で汚染された汚泥百十数トンを受け入れて処理して埋め立て、廃液も海に流したらしい。市に相談してもなしのつぶて。対策などのアドバイスはないか。
回答:
福島から漏れた量が数億ベクレルもしくはスリーマイル島のように数兆ベクレルであったら瓦礫を引き受けても大したことはない。100京ベクレルだと受け入れると汚れてしまう。九州地区は団結して絶対に福島のものを入れてはいけない。程度問題。100京ベクレルだと協力しちゃうとこっちがやられる。量の問題で道徳の問題ではない。九州が支えられる量では無いことをはっきりするべき。除染して90%くらい回収してから話をすべき。
※お気づきの方がいるかもしれないが、この「2人目」の質問者は実は私(中村)だ。

・3人目:
前の方の席、帽子をかぶった年配の男性。先生にお願い。質問では無い。週刊現代の7月2日号に玄海原発爆発という見出しがあった。井野博満(いいのひろみつ)先生。金属材料学の先生。原子炉が老朽化して中性子で劣化しており止めて冷やしたら割れて爆発する。九州は逃げる事ができない。大阪まで被害がある。世界が未曾有の被害をうける。武田先生が取り上げて欲しい。1000万か一億の人が耳を傾ける(後席から拍手が起こる)。
回答:
中性子脆化かなり起きている。耐震問題、津波、落雷、玄海原発は福島原発より弱い。壊れると思った方が技術的にいい。風下が全部やられる。同じような問題が韓国の原発にもある。韓国に強く申し入れて事故対策・飛散対策を十分やってもらう必要がある。外交的な圧力をかける。


(講演内容の紹介ここまで)


○中村の所感:
武田邦彦氏は世間の評価が分かれる方である。放射能対策に神経を使っている母親層に人気があるようだ。このブログで4年前(2007年7月)に書いた記事では、武田邦彦氏に対し肯定的な評価で締めくくっている(この時は環境問題に関する議論)。
一方、「訂正の過程を明示しない」「情報源を明示しない」(「武田邦彦氏の誠実さ - NATROMの日記」より)といった手厳しい評価をする人もいる。
この記事では武田邦彦氏の評価は保留する。しかし、少なくとも、今回の講演を聴きに行って後悔はしなかった、とだけは言っておく。

最後に:
今回の講演会は「しがらみの少ない」うきは市商工会だからこそ出来たのだろうと思う。北九州市や福岡市の商工会が主催することはあり得ない。
有意義な講演の機会を提供していただいた武田邦彦氏と、その開催に尽力されたうきは市商工会の関係者の皆様に心より感謝を申し上げたい。


※講演会データ:
・7月25日(月) うきは市政経懇話会主催
 「武田邦彦氏講演会 地震、原発、環境について」
・時間 午後3時~午後4時30分
・会場 うきは市文化会館(福岡県うきは市吉井町1001-4)
●問い合わせ うきは市商工会浮羽本所 0943-77-2239


※2011.07.26(火)06:56追記:
・「mSv」の一部に全角文字が混在していたので半角文字に統一。
・講演会の主催はうきは市のホームページを見ると正確には「うきは市政経懇話会」となっている。組織の関係は確認していないが、これはうきは市商工会の内部組織と思われる。本文末尾に関連記述があるが、微妙な表現なのであえて訂正はしない。

※2011.07.26(火)10:24追記:
冒頭部分の誤字脱字2か所を修正。

※2011.07.26(火)10:42追記:
「最後に」の部分の誤字脱字1か所を修正。

※2011.07.26(火)11:10追記:
本文中の誤字脱字1か所を修正。色々ご指摘ありがとうございます。

※2011.07.26(火)19:40追記:
武田邦彦教授、うきは市で講演~原発の脅威を語る:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース」に関連記事があった。私の質問に関して「講演会では来場者からの質疑応答の時間も設けられ、北九州市当局による被災地瓦礫の受け入れ問題や北九州市の民間企業による汚泥受け入れ問題にも触れられた。武田教授は「難しい問題だ」としながらも、すべてに優先させるべきは福島の除染であり、受け入れはその次の段階であるべきだとの持論を展開した。」と紹介されている。
※↑この記事で紹介されている武田邦彦氏の新刊(アマゾン):

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Comments

講演のレポートお疲れ様です。
「中性子脆化かなり起きている」というのは地震がなくても事故が起きることを示唆していますね。小さな事故はしばしばなので大きいやつが。
古いほうから危ないわけですが、最初の一発は準備も対策も何もないところに起きるので、玄海原発が心配です。

Posted by: 十五夜 | Jul 26, 2011 02:34 AM

十五夜 さん、コメントありがとうございます。

玄海原発について、このブログではあえて取り上げていませんが、確かに心配ではあります。

Posted by: 中村友一 | Jul 26, 2011 06:58 AM

はじめまして、武田先生の講演内容詳しく教えて頂きありがとうございました。とても読みやすかったです
できれば規制された内容を知りたいのですが教えて頂けないでしょうか
突然のお願い申し訳ありません。
講演に是非行きたかったのですが、子供がまだ小さくて行けなかったので 内容を詳しく知りたかったので よろしくお願いします。

Posted by: ママちゃん | Jul 26, 2011 10:48 PM

ママちゃん さん、コメントありがとうございます。

この記事は「メモ」なので講演の全てをお伝えしているものではありません。自主規制部分については武田先生が「講演限定」ということで話された事ですので、申し訳ありませんが、ここで私から公開する予定はありません。

Posted by: 中村友一 | Jul 27, 2011 11:42 AM

この方の講演を聴かれたのですね
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E9%82%A6%E5%BD%A6

で、温暖化しても南極の氷は減らないとか、そういう話をあなたは信じたのですか?

Posted by: | Aug 03, 2011 08:32 PM

コメントありがとうございます。

武田邦彦氏の主張に対する私の評価は記事中にも記載の通り「保留」とさせていただきます。

なお、回答しづらいので、次回コメントされる時は名前欄に何かご記入ください。

Posted by: 中村友一 | Aug 03, 2011 09:05 PM

講演会のまとめお疲れ様です。
行けなかったのでとてもありがたいです。

武田邦彦氏に限ったことではなく、個人の発言を丸ごと信じることは無いと思います。
完璧な人間は居ませんし、世界全ての人を満足させる言葉を扱える人なんていません。

その時々の発言毎に、聞き手側が自分の価値観と照らし合わせて、評価を決めれば良いのだと思っております。

Posted by: fei | Aug 04, 2011 06:22 AM

fei さん、コメントありがとうございます。

武田邦彦氏の主張の是非については4年前から議論が尽きません。現在このブログでは「放射能対策」に焦点を絞っており、「今のところは」あえて評価を保留しています。

いつか余裕があれば検討したいと思います。

Posted by: 中村友一 | Aug 04, 2011 09:02 AM

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