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Jul 18, 2011

軽トラックの荷台で高い放射線量率「毎時1ミリシーベルト超」を表示しているとされるYouTubeビデオの検証

軽トラックの荷台で高い放射線量率「毎時1ミリシーベルト超」を表示しているとされるビデオがネット上で話題になっている。これに関しては不思議な点がいくつかあるため、キャプチャした静止画などから検証してみた。

冒頭に示したものが問題の映像だが、この映像は何らかの事情でリンク切れとなる可能性がある。

問題の映像の詳細は以下のように記載されている:

(詳細ここから)

放射線量 いわき市小名浜 2011.7.13
AYUMI19990901 さんが 2011/07/14 にアップロード
この動画はAndroid端末からアップロードされました。

(詳細ここまで)

昨日(7/18)の夕方ごろ確認した時は「この動画は非公開です。」と表示されており、映像を見る事はできなかったが、夜になって再度アクセスすると下記の画面キャプチャ画像のように「この動画は限定公開です。リンクを知っている人のみ再生できます。」となっており、再び見る事ができるようになっていた


映像の中で使用されているサーベイメーター(放射線測定器)について検証してみよう。

上記は03分18秒付近の画面をキャプチャした静止画だ。「ES-GC01」と読み取れることから恵比寿製作所製のサーベイメーターと思われる。仕様通りの性能であれば線量率の測定範囲は 0.01~200.00μSv/h のはずである。

しかし、映像ではなぜか最大値で 386.3μSv/h まで表示されており、この製品については基本的な性能や品質に疑念を抱かざるを得ない。下記はその最大値を示している00分47秒付近の画面をキャプチャした静止画だ。

補償アルゴリズムや校正方法がどうなっているかメーカーの「恵比寿製作所」に確認しようと思ったが、同名の会社は多数あっても「ES-GC01」の製造を公表している会社がネット上に全く見当たらない

外観が非常に良く似た中国製の製品の表示だけ変えて日本製に偽装しているのではないかと推定している情報すらあった。

しかも仕様上は「ES-GC01」のエネルギー誤差範囲が±30%もあり、この映像に出ている放射線量率の数値は要注意だ。「ES-GC01」の測定値の信頼性については校正情報などが得られるまで判断を保留すべきだろう。

かかる状況にもかかわらず、ネット上では何故かこの映像が「毎時1ミリシーベルト超」という見出しとともに多数取り上げられている。上で述べた仕様から判断すると、オーバーレンジしたということは測定値は 200μSv/h 超ということしか言えないはずで、1mSv/h 超という表現は間違っている


撮影日時について検証してみよう。

上記00分14秒付近の画面をキャプチャした静止画だ。液晶表示の3段目(一番下)は「07/13 17:38」と読めることから撮影日時もこの付近と考えられる(動画タイトルに「2011.7.13」と記載されている)。日時設定の誤りなども考えられるので断定はできないが、アップロード日が「2011/07/14」なので、これとは矛盾がない。


撮影場所・撮影者・立会人について検証してみよう。

動画タイトルに「いわき市小名浜」と記載されている。動画から特定できそうな特徴を読み取ると下記のようなことが分かる:

・黄色いセンターラインの片側1車線の車道が目の前(冒頭と末尾付近)
・車道の向かい側に細い路地(冒頭と末尾付近)
・すぐ脇に細い路地(冒頭と末尾付近)
・車両が複数ある自動車修理工場のような作り(00分21秒付近))
・立会人と思われる赤いツナギ服の作業者が映っている(02分03秒付近)
・サーベイメーターに映り込む撮影者も赤いツナギ服を着用している(01分49秒付近)

これらから、撮影場所は福島県いわき市小名浜にある自動車修理工場、撮影者と立会人は赤いツナギ服を着用した2人の作業者、ということになる。

Googleマップの航空写真情報等を探したところ、下記の画像で示す「A」のマークの住所がこれら特徴に該当すると特定できた:

詳細な住所や事業所名称などは現時点では公開しない


撮影者と投稿者について検証してみよう。

投稿者は同IDで他に20件のビデオを投稿している。問題の映像の撮影者と投稿者が同一であるかどうかは分からないし、他のビデオの撮影者と同一かどうかも分からない。ここでは問題のビデオの撮影者についてはこれ以上言及しない

投稿者の他の20件のビデオも見たが、問題の映像とは無関係と思われる個人情報満載なので、こちらもこれ以上言及しない


最後に所感を

冒頭の映像は衝撃的だ。サーベイメーター(放射線測定器)が荷台に近づくと測定数値がぐんぐん上昇し、オーバーレンジ(表示上限を超えてエラーとなった状態)を表す「8888」を表示してしまった。

正確な放射線量率はともかく、深刻な事態である可能性は高い。外部被曝だけでも十分危険だが、それよりも大量の放射性物質が含まれていることが疑われことから、撮影者はもちろん、たまたま周辺にいる人々の内部被曝を考えると非常に危険だ。

この映像が測定機器の故障や撮影上のトリック等でなければ、軽トラックの管理者は処置を誤ると「放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為」に抵触する犯罪者(テロリスト)になり得ると思う。行政が適切に対応する事を切望する。


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Comments

386.3は蓄積値μSvですよ。
999.9μSvまで計測できる。

Posted by: kamakura311 | Sep 09, 2011 at 05:44 AM

計測値の変動が激しくてあてにならない機械だけど、危険であることに変わりはないと思いますよ。

PC周辺機器のプラネックスが輸入販売しています。電話0570-082-226

揺するとGM管からチャラチャラ音が聞こえます。
表示値が数百%変動してあてになりません。

AMラジオを近づけるとGM管が動作していることが確認できます。

但し、放電ノイズのカウント数と、表示値がリニアになっていません。1秒、30秒、60秒毎の計測ができますが、同じ傾向です。

東京の室内で0.03から0.7まで、ランダムみたいに表示しますが、画像みたいな大きな数字にはなりません。

電子レンジの電源プラグを抜き電磁シールドケース代わりに実験しましたら、電波による誤動作がなさそうです。

電子レンジ内部は食品が乾燥された汚物が付着するので線量が高くなっていました。

手持ちの物は、カレンダ設定機能のBUGがあります。年数をセットした直後にMODEを長押ししないと、年数が設定されません。

ケースがβ線などを遮断してしまうので、GM管が露出するようにケースに穴を開けて使っている人がいました。

Posted by: | Dec 25, 2012 at 01:16 PM

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