« 一流ホテルなら「失礼になるのでお体には触りません」(tetorayadeさんの当該ブログ記事コメントから引用) | Main | 何がおかしいか見抜ける?(ジェネパックス社:水のエネルギーで走行する自動車)(×「ジェネバックス」→○「ジェネパックス」) »

Jun 08, 2008

やさしく読み解く裁判員のための法廷用語ハンドブック(日本弁護士連合会裁判員制度実施本部・法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチーム(編)、三省堂、税込¥1,260.)

近くの図書館の新着コーナーにあった「やさしく読み解く裁判員のための法廷用語ハンドブック」(日本弁護士連合会裁判員制度実施本部・法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチーム(編)、三省堂、税込¥1,260.)を借りてざっと読んでみた。来年からスタートする裁判員制度について分かりやすく説明してある。

仕事の忙しい社会人が最も気になる点は「裁判員を辞退できる条件」ではないかと思うが、本書では次のように説明されている:

以下「教えて!裁判員① 裁判員の辞退」(p.28)からの引用:

(引用ここから)

Q 育児や介護で忙しい場合に裁判員を辞退することが認められていますか?仕事が忙しい場合はどうですか?

A 裁判員を辞退することは原則として認められませんが、次に該当する方は例外的に辞退を申し出ることができます
①年齢が70歳以上の人
②地方公共団体の議会の議員(会期中のみ)
③学生または生徒
④過去5年以内に裁判員または補充裁判員の職にあった人
⑤過去3年以内に選任予定裁判員であった人
⑥過去1年以内に裁判員候補者として裁判員等選任手続きの期日に出頭したことがある人
⑦過去5年以内に検察審査員または補充員の職にあった人
⑧重い病気、妊娠、介護や通院介助、父母の葬式、自分で処理しなければ重大な損害が生じる業務などにより、裁判員をつとめることが困難な人、または裁判員をつとめることにより、自分や第三者に身体上、精神上または経済上の重大な不利益が生じると認められる相当の理由があることなど。

これらの理由をお持ちの方は、調査票に記入をします。裁判所が辞退を認めれば、裁判員には選ばれません。

(引用ここまで)

太字は私(中村)による強調。

国民の義務なので原則として回避できないのが建前だ。しかし、⑧にある「自分で処理しなければ重大な損害が生じる業務などにより、裁判員をつとめることが困難な人」という条件は解釈によってはかなり広範に適用されてしまうのではないだろうか?私が素人だから気安く言えるのかもしれないが、自営業者や会社社長などはほとんど適用されるような気がする

ちなみに、「教えて!裁判員③ 裁判員法の罰則規定」(p.92)によると、「呼出しを受けた裁判員が正当な理由なく出頭しないとき……10万円以下の過料」だそうだ。その代り、裁判員になると1日あたり1万円以内」の日当が支払われるそうだ(p.7)。

「教えて!裁判員④ 「悪い人」をなぜ弁護するのか」(p.106)も一般人には興味深い内容だ。その理由を一言で言うと本当にその人が犯罪を行った「悪い人」であるとは限らないから、ということのようだ。

マンガ・共犯ストーリー」(p.94)は6人の若者がずるずると強盗の共犯になって行く過程を4ページのマンガで説明したものだが、なかなかポイントが分かりやすかった共犯については一般人にはなじみの無いビミョーな区分があって違いが分かり難いのだが、マンガにするとわかりやすい

「共同正犯・共謀共同正犯(p.98)」から引用してみよう:

(引用ここから)

共同正犯 2人以上で一緒になって犯罪を行った人たちをいう。犯罪行為の一部しかやっていない人でも、全部について責任を問われる。
共謀共同正犯 直接手を下していない人でも、犯罪の計画に加わって重要な役割を果たしていれば、共同正犯となることがある。

(引用ここまで)

うーん、やはり文面を読むと分かりにくいかもしれない。共犯のビミョーな区分はさらに、「他人をそそのかして犯罪を行わせた人」という「教唆犯」(p.101)、「他人の犯罪を補助した人。自ら犯罪を行った場合よりも、軽い刑を適用しなければならない。」という「従犯(幇助犯)」(p.104)と続く。文字で書くと分かりにくいかな。

「既遂・未遂・中止未遂(中止犯)」(p.126)のうち、既遂・未遂は知っていたが、中止未遂(中止犯)は聞いたことがなかった。これらの違いを説明できる一般人は少ないのではないだろうか。それぞれの説明はこうなっている:

既遂:「ある犯罪行為にとりかかり、その結果を生じさせたこと。」
未遂:「ある犯罪行為にとりかかったけれども、その結果が生じるに至らなかったこと。」
中止未遂(中止犯):「犯罪行為に取り掛かったけれども、自分の意思で途中でやめたため未遂に終わったこと。」

となっている。ドジを踏んでできなかったら「未遂」で、自分の意思で止めたら「中止未遂(中止犯)」ということだ。このほかにも「予備罪」(p.129)というのもある。例えば「人を殺そうと思い包丁を買って家に置いておいた」場合は「殺人予備罪」となる(p.130)。

最後に本書の目次を紹介しておこう:

(目次ここから)

読者のみなさまへ
本書の使い方

裁判員制度と刑事裁判の大原則
 裁判員制度とは何ですか?
 裁判員が参加する裁判はどのように進みますか?
 刑事裁判の大原則とは何ですか?

やさしく読み解く法廷用語
1 冒頭手続き
 01 公判期日 こうはんきじつ
 02 起訴・起訴状・公訴事実
   きそ・きそじょう・こうそじじつ
 03 黙秘権 もくひけん
2 証拠調べて続き
 04 冒頭陳述 ぼうとうちんじゅつ
 05 証拠 しょうこ
 06 実況見分・実況見分調書
    じっきょうけんぶん・じっきょうけんぶんちょうしょ
 07 検証・検証調書 けんしょう・けんしょうちょうしょ
 08 検察官調書(検面調書)
   けんさつかんちょうしょ(けんめんちょうしょ)
 09 特新情況(特信性)
   とくしんじょうきょう(とくしんせい)
 10 員面調書 いんめんちょうしょ
 11 証拠能力 しょうこのうりょく
 12 違法収集証拠・違法収集証拠排除の法則
   いほうしゅうしゅうしょうこ・いほうしゅうしゅうしょうこはいじょのほうそく
 13 自白・自白の任意性 じはく・じはくのにんいせい
 14 伝聞法則・伝聞証拠・伝聞供述
   でんぶんほうそく・でんぶんしょうこ・でんぶんきょうじゅつ
 15 弾劾証拠 だんがいしょうこ
 16 合意書面 ごういしょめん
3 論告・求刑・弁論
 17 論告・求刑・弁論 ろんこく・きゅうけい・べんろん
4 評議
 18 合理的な疑問(合理的な疑い)
   ごうりてきなぎもん(ごうりてきなうたがい)
 19 刑の量定(量刑) けいのりょうてい(りょうけい)
 20 刑の減軽 けいのげんけい
 21 情状・情状酌量 じょうじょう・じょうじょうしゃくりょう
 22 勾留・未決勾留日数の算入
   こうりゅう・みけつこうりゅうにっすうのさんにゅう
 23 累犯 るいはん
 24 前科・前歴 ぜんか・ぜんれき
5 共犯
マンガ・共犯ストーリー
 25 共同正犯・共謀共同正犯
   きょうどうせいはん・きょうぼうきょうどうせいはん
 26 教唆犯 きょうさはん
 27 従犯(幇助犯) じゅうはん(ほうじょはん)
6 犯罪の成立にかかわる用語
 28 故意・確定的故意(殺意)・未必の故意(殺意)・認識ある過失
   こい・かくていてきこい(さつい)・みひつのこい(さつい)・にんしきあるかしつ
 29 正当防衛・過剰防衛 せいとうぼうえい・かじょうぼうえい
 30 緊急避難・過剰避難 きんきゅうひなん・かじょうひなん
 31 責任能力 せきにんのうりょく
 32 心神喪失・心神耗弱 しんしんそうしつ・しんしんこうじゃく
 33 既遂・未遂・中止未遂(中止犯)
   きすい・みすい・ちゅうしみすい(ちゅうしはん)
7 裁判員裁判が行われる犯罪にかかわる用語
●放火罪
 34 現住建造物・非現住建造物
   げんじゅうけんぞうぶつ・ひげんじゅうけんぞうぶつ
 35 焼損 しょうそん
●略取・誘拐罪
 36 略取・誘拐 りゃくしゅ・ゆうかい
●強盗罪
 37 反抗を抑圧する はんこうをよくあつする

教えて!裁判員① 裁判員の辞退
教えて!裁判員② 意見が一致しない場合
教えて!裁判員③ 裁判員法の罰則規定
教えて!裁判員④ 「悪い人」をなぜ弁護するのか

事項索引

(目次ここまで)

|

« 一流ホテルなら「失礼になるのでお体には触りません」(tetorayadeさんの当該ブログ記事コメントから引用) | Main | 何がおかしいか見抜ける?(ジェネパックス社:水のエネルギーで走行する自動車)(×「ジェネバックス」→○「ジェネパックス」) »

近くの図書館の新着コーナー」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50105/41470995

Listed below are links to weblogs that reference やさしく読み解く裁判員のための法廷用語ハンドブック(日本弁護士連合会裁判員制度実施本部・法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチーム(編)、三省堂、税込¥1,260.):

» 裁判員制度ーーこんなひどいものとは [ペガサス・ブログ版]
裁判員制度について私はこれまで,いろいろ問題はあろうが国民の裁判参加の方向で一歩でも進むならいいのではないか,と,およそこのように思っていたのだが,少し調べてみたらこれがとんでもない制度だと分かった.これは中止して,制度設計を一からやり直すべきだ. まず,裁判員が係わる事件は.死刑か無期の刑に当たるような重罪事件だけだ.これは,最高裁の統計によると,06年に行われた裁判のわずか2.9%に過ぎない.例えば先日のグリーンピース職員の逮捕事件のような場合や,ビラ配り逮捕事件などは全く対象外なのだ.つまり... [Read More]

Tracked on Jul 03, 2008 at 08:34 PM

« 一流ホテルなら「失礼になるのでお体には触りません」(tetorayadeさんの当該ブログ記事コメントから引用) | Main | 何がおかしいか見抜ける?(ジェネパックス社:水のエネルギーで走行する自動車)(×「ジェネバックス」→○「ジェネパックス」) »