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Oct 12, 2007

ゴア氏の映画「不都合な真実」の誤り全9項目の日本語訳

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ゴア氏の映画「不都合な真実」に科学的な誤りがあると英国の裁判所が認めたそうです。残念ながら、日本の報道ではいまのところ全項目を紹介しているところがありません。以下、誤りとされた全9項目の日本語訳です:

ゴア氏の映画「不都合な真実」の誤り全9項目の日本語訳

(1)
ゴア:「近い将来」に西大西洋およびグリーンランド(の氷)が解けることによって海水面が20フィート上昇するだろう。
判決:これはゴア氏の「警告」の中でも本当に人騒がせな部分です。もしグリーンランド(の氷)が溶けたなら、その量の水が放出されるであろう、ということは意見が一致するものです。しかし、それは数千年以上後のことです。

(2)
ゴア:太平洋環礁の低海抜地域の居住者はすでに「人類による地球温暖化によって浸水させられつつある」。
判決:まだ避難が行われた証拠はありません。

(3)
ゴア:ドキュメンタリーでは地球温暖化が潜在的に「海洋(ベルト・)コンベヤーを止めてしまう」-メキシコ湾流が北大西洋から西ヨーロッパへ運ばれる過程(を止めてしまう)-と述べられている。
判決:気象変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、それが速度を落とすかもしれないが、止めてしまうことは「とてもあり得ない」となっている。

(4)
ゴア:(65万年以上の期間について、一つは二酸化炭素の増加の、もう一つは温度上昇の)2つのグラフが「厳密に一致する」ことを示している、と-反対者の視点を嘲りながら-主張している。
判決:それらに関連があることについては一般的に科学的な合意があるが、「2つのグラフはゴア氏の主張を証明しない」。

(5)
ゴア:キリマンジャロ山の雪の消失は明らかに地球温暖化に起因していた。
判決:これはデービッド・ミリバンド(環境長官)を「特に感銘させた」。しかし、科学的なコンセンサス(合意形成)は、キリマンジャロ山の雪の後退が主に人間が引き起こす気候変動に起因するとは証明できない、というものだ。

(6)
ゴア:チャド湖が干上がっていることは地球温暖化の破滅的な結果の主要な例と映画の中ではなっている。
判決:存在する証拠はそのような帰属を証明するには不十分だと一般に受け入れられている。どちらかと言えば、人口増加・過放牧・地域の気候変動といった他の要素にずっと多く起因すると考えられている。

(7)
ゴア:ハリケーン・カトリーナとニューオリンズの荒廃は地球温暖化の結果。
判決:それを示す十分な証拠がない。

(8)
ゴア:新しい科学研究によると、「氷を見つけるために長距離-60マイル(約97km)-を泳いだ」ホッキョクグマが実際におぼれているのがはじめて発見された。
判決:私(裁判官)でも分かる科学的な研究の(該当)部分は、4匹のホッキョクグマが最近嵐でおぼれているのが発見された、というものだけだ。海洋の氷が後退する傾向が継続するならば、将来クマたちの溺死がないとは言えない。しかし、これがそのままゴア氏の記述を支援するものでもない。

(9)
コア:世界中の珊瑚礁は地球温暖化および他の要因のために白くなっていました。
判決:IPCCは、もし気温が1~3℃上昇したならば、珊瑚が適応できない限り珊瑚の白化死が増加する、と報告した。しかし、魚の乱獲や環境汚染といった他のストレスと、気候変動によるストレスの影響を分離するのは困難だ。


※以上、英国の新聞「Times Online」の記事(Al Gore told there are nine inconvienient truths in his film)から翻訳(やや意訳)しました。翻訳内容に関する全責任は私が個人的に負います。誤りがあれば随時訂正します。


さて、なぜ今ごろになってこんなニュースが出たのか、だが、やはり「裁判の判決が出た」ということが大きいのだろう。しかも、「英国で」というところがミソだ。

細かいところは分からないが、純粋に科学的な判断を英国の裁判所が断定したことが国際政治に与えるインパクトは少なくないだろう。

残念ながら私には(1)~(9)全てについて権威を持って断じるほどの力もないが、私が見たところ、裁判所の判断が妥当なのかなぁ、という印象を持っている。さて、このあとどういうことになるのやら。


以下、日本語記事の引用:


http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20071011i312.htm
ゴア氏の映画「不都合な真実」、英裁判所が是正措置要求

 【ロンドン=森千春】英高等法院は10日、アル・ゴア前米副大統領が地球温暖化について警告した映画「不都合な真実」について、政治的に偏向し、部分的に誤りがあるとして、学校での上映に際して是正措置をとるよう求める判決を下した。

 判決言い渡しで裁判官は、グリーンランドを覆う氷が溶けて「近い将来に」水面が7メートル上昇するかもしれないというくだりは、「科学的な常識から逸脱している」と指摘。地球温暖化でアフリカ最高峰キリマンジャロの雪が後退しているという主張も科学的裏付けがないとの判断を示した。ただ、「地球温暖化が人為的な原因で起きている」という全体のメッセージについては、妥当だと認めた。

 英国では、教育省が環境教育の一環として、「不都合な真実」のDVDを学校に配布。英南部ケント州に住む2児の父親が、学校での政治宣伝を禁じた教育法に反するとして、上映禁止を求めて、裁判を起こしていた。

(2007年10月12日0時9分 読売新聞)


07.10.16(火)14:50追記:
iza 言及リンク(トラックバック用):
「不都合な真実」に9つの誤り 英高等法院指摘

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Comments

トラバありがとうございます。あまりにも偏った報道許す事が出来ません。真実を伝えていきたいものです。

Posted by: MUGI | Oct 12, 2007 11:51 PM

MUGIさん、ご丁寧にありがとうございます。

環境問題というのは、「真実」を知ることも、「真実」を伝えることも、どちらも困難な分野です。まず、真実を科学的に知るためには膨大な調査が必要であるため技術的・経済的に困難です。また、仮に科学的な真実に到達してもうかつに喧伝すると場合によっては自分の社会的評価にマイナスとなることもあります。

「偏った報道」という「印象」ではなく、今回のニュースのように環境問題の本家ヨーロッパの英国で、しかも裁判所が、「科学的に断定」した、というのは本当すごいと思います。

なお、リンク先がブログのトップページになっておりましたが、トラックバック相当のコメントとみなし、運営方針により当該記事へのリンクに変更させていただきました。ご了承ください。

Posted by: 中村友一 | Oct 13, 2007 02:05 AM

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Listed below are links to weblogs that reference ゴア氏の映画「不都合な真実」の誤り全9項目の日本語訳:

» 不都合な真実のゴア氏にノーベル平和賞 [かきなぐりプレス]
映画はめったに観に行かないが「不都合な真実」を観るために映画館へ足を運んだ。それほどこの映画は地球温暖化問題に関心を持たせてくれた。 映画を観た人ができることは、ざっとこんなことだ。 地球温暖化を防止するためには、二酸化炭素の排出を抑えなければならない。 そのためには省電力家電を買うとか、エアコンの設定温度を夏は高めに、冬は低めに設定。家には断熱材をたっぷり使う。移動には歩く。自転車に乗る。公共の交通機関を利用する。低燃費の車を買う。金があるならハイブリット車を選ぶ。木を植える。 ... [Read More]

Tracked on Oct 15, 2007 01:10 PM

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