北九州の熱射病死事故、職員が死亡の男児を「園で昼寝」と記録(8/23読売)
被害者の園児が炎天下の車内に放置されていた時間帯、園のスタッフはその園児が園内ですやすや昼寝していると勘違いしていた、ということだ。
連絡帳とは、引用記事のように「保護者への連絡帳」でもあるが、「担当する先生への連絡帳」でもある。保護者と園を結ぶものだ。
私の長女は保育園・幼稚園とも預けたことがあるが、「連絡帳」は大変重要だった。園の運営方針や担当される先生によっては連絡帳を重視しないこともあったが、その場合はお見送り・お迎えの際の会話や電話連絡でしっかりフォローしてくれていた。いずれにせよ、保護者は担当する先生に全幅の信頼を置いている。
中井保育園では、その先生が命に関わる認識を誤り、そのまま連絡帳に記入していたというのだから驚きだ。これは一体、どのような原因が考えられるだろうか?
まず、その先生の保育者としての資質に問題があったことは間違いない。自ら直接確認していないこと(しかも命に関わるようなこと)を書いてしまうのだから、もしかしたら保育以前の話なのかもしれない。 仮に、スタッフが多忙であったとしても、やっていいことの範囲を超えている。
次に、やはり園としての管理の問題が考えられる。保育に関わる資質(もしくはそれ以前の資質)に欠けるスタッフであったならば、園はその雇用責任を問われるべきだろう。また雇用して現場に配置していた以上、そのスタッフを管理・指導する責任は重大だ。どんなに資質に欠けるスタッフであろうが、どんなに多忙な運営であろうが、全てのスタッフが確実な安全管理を実施するよう監督する責任が、園にはある。
本質はやはり、園としての管理責任が重要だったと、私は考える。管理者の責任というのは、それだけ重いものだ。この管理責任を園として最終的に負っていたのは、一体誰だったのだろうか?
さて、もう一段、上位の管理責任についても考える必要がある。それは、このブログですでに何度と無く言及していることだが、このようなずさんな園の管理体制を放置していた行政の監督責任だ。
園としての安全管理マニュアルの有無、市が実施する研修会への参加状況など、普段からチェックし、適切な監督指導を行うべきものだと思う。
保険加入に関する虚偽広告でも同様だ。行政としてしっかり管理していれば、未加入状態に対する改善指導は可能だったはずだ。
現場の担当者や園の管理責任者がしかるべき制裁や処罰を受けることは当然だが、その監督責任を十分に果たしていなかった行政の責任も同時に問われるべきだと考える。
トカゲのしっぽ切りで終われば、同様の事件は必ず再発する。それは時間の問題だ
以下、引用記事:
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07082309.htm
北九州の熱射病死事故、職員が死亡の男児を「園で昼寝」と記録
北九州市小倉北区の無認可保育所「中井保育園」で園児が熱射病とみられる症状で死亡した事故で、事故当日、園の職員が、死亡した浜崎暖人(はると)ちゃん(2)を園内で確認せずに、保護者への連絡帳に「園内で昼寝をしていた」との内容を記入していたことが分かった。園のスタッフが思い込んでいたとみられ、ずさんな運営の一端が新たに判明した。
暖人ちゃんの両親の代理人を務める原田直子弁護士が22日、同市や北村寿和園長から受けた説明として明らかにした。
関係者によると、事故が起きた7月27日、暖人ちゃんを除く園児は、園外保育から戻った午後1時半ごろから同4時ごろまで昼寝した。暖人ちゃんは午後1時半ごろから同5時ごろまで炎天下のワンボックスカーに置き去りにされていた。
(2007.08.23読売)
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