「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」著者・武田邦彦先生が個人ブログにご光臨!
武田邦彦先生は「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」の著者で、ご専門は材料工学だ。現在は中部大学に在籍されている。武田邦彦先生は独自の切り口から環境問題を批評されていらっしゃる方で、その「過激な立場」ゆえか、マスコミ(特にテレビ)では見かけない論客だ。私の知っている限り、テレビで放映されたのは「たかじんのそこまで言って委員会」(第188回:2007/6/3 放送)だけだ。
ご存知の方も多いと思うが、「たかじんのそこまで言って委員会」もまた過激な番組で、司会者(やしきたかじん氏)が「関東では放送しない」という条件で出演を承諾したという変わった背景を持っている。武田先生ご出演の回はさすがだなぁと感心して観た。
武田先生の過激な主張を同番組で放送されたキャプションから拾ってみると下記のようなものがある:
・今のエコ活動は全くの無意味か逆に環境を悪化させる。
・回収されたペットボトルのうち再資源化されているのはわずか6%。分別回収は無意味だ。ペットボトルをリサイクルする為に新品の7倍分の石油が使われた。
・レジ袋の原料は石油精製後の残りもの。レジ袋は資源の有効利用。「マイバッグ」「専用ゴミ袋」の方が新たに石油を使っている。
・常識:紙の消費が森林資源を破壊している。
→武田教授:紙の原料となる森林は拡大している。
・常識:CO
→武田教授:成熟した森はCO
・常識:温暖化により多くの生物が絶滅。
→武田教授:生物が反映した「古生代」は今より20度も暖かかった。
・環境問題は人をだましやすい!
普通の感覚の人が読むとびっくり仰天の内容ばかりである。色々議論があるだろうが、私の見た範囲では、一般に「常識」とされているものよりも理に適っており、説得力があると考える。詳しい主張は先生の著書かご本人のホームページをご覧いただきたい。ホームページの方は環境とは無関係の随筆などが多数あり、なかなか面白い。
さて、本題の「ご光臨」に移ろう。武田先生については前々から記事にしたいと思っていたが、今回「ご光臨」を目の当たりにしたので記事にすることを決意した。
武田先生ご本人がご光臨されたのは bewaad 氏が運用している個人ブログである。
この方のブログはつい最近、私のブログのある記事に関しコメントとTBをお送りした時に知り、時々読んでいた。
問題の記事は先週7/4のエントリー「武田邦彦先生の信頼性 | bewaad institute@kasumigaseki」だ。武田先生の著書とその反論本を比較し、批判的な内容の記事を書いている。それに対して、同ブログ記事のコメント欄(7/8付け)に「武田邦彦」という名前でコメントがついたのだ!武田先生の書き込みは全部で2件だ。
その後のコメント欄での応答を見ると bewaad 氏もかなり驚いていらっしゃる様子であった。最終的にご本人であることが確認されたようで、その後、コメント欄での議論はなく、メールでのやりとりへ移行されたようで、現在に至っている。
いや、それにしても驚いたのは、武田先生がどうやって一個人のブログを発見したのかということと、そこへコメントをしているということだ。ネットならではのダイナミックな「事件」だった。
07.07.10(火)09:27追記:
武田先生の著書にデータ捏造があったという指摘があったので掲載しておく:
書籍「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」での弊協議会データ捏造について(発行者:PETボトルリサイクル推進協議会)
これはJANJANの記事(『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』のウソ)で言及されていたものだが、同記事には武田先生の主張に対する反論がこれでもかというほど出てくる。環境問題全般に言えるが、この手の論議について真偽を追跡するのはけっこう骨が折れる。技術的な難しさという点も一部あるが、判断に必要と思われる膨大な量の基本情報が入手困難という点が最も重要な原因だと思う。どちらがより真実に近いか、より社会に有益か、個人的に利益があるか、追求してみたいと思う。近日中に追加レポートを書きたい。
07.07.11(水)07:50 追記:
bewaad氏と武田先生のメールのやり取りをまとめたエントリ「武田邦彦先生からのメイル」が掲載されている。PETボトルリサイクル推進協議会が指摘する「データ捏造」については「近日中に追加レポートを書きたい。」と書いていたが、bewaad氏のこの新規エントリの最後の方で言及されている。それによると、そもそも武田先生が著書で使用したデータはどこも公表しておらず、武田先生がPETボトルリサイクル推進協議会が公表した数字などをもとに独自で計算したものだそうだ。PETボトルリサイクル推進協議会を出典としたのは儀礼的な意味からだ。
→該当箇所の引用:
「ペットボトル・リサイクル協会が拙著の数字を「捏造」と表現しているということですがが、日本で利用されたリサイクル・ペットボトルの量は拙著で示した量が唯一なのでもともと捏造ということはありません。また計算ではリサイクル協会の数値をもとにしていますので礼儀として出典を示したものです。」。
結論としては、PETボトルリサイクル推進協議会が指摘するようなデータの捏造は行われていないということだ。データの捏造というと、ありもしないデータを作り出すことだが、武田先生の場合、公表されたデータをもとに計算して新たなデータを導き出したもの、ということ。これを「捏造」と指摘するようでは世の中のデータは全て「捏造」にされてしまう。ということで、本件についてはもう私が深追いするようなこともない。追加レポートはナシだ。
07.07.11(水)08:55 追記:
bewaad氏と武田先生のメールのやり取りは続編「続・武田邦彦先生からのメイル」が出ており、こちらは「財務」の話です。bewaad氏の結論では、お金の話に関しては武田先生の主張は誤りを含んでいる、ということです。元の記事のコメント欄にコメントしていますが、武田先生の「お金」の話はその「入り口の思想」が分かりやすくて納得しやすいと思います。武田先生のホームページに掲載されている「お金の話」というエッセーを読んでみると興味深い話がたくさんあります。悪意はないと思いますが、あまりに単純化しているために不正確な表現になったのではないかな。環境問題についてはかなりいい線を突いていると考えますが、お金の話は専門外なので限界があるのでしょう。
07.07.17(火)追記:
「教えて!goo 武田邦彦の学者としての位置」を読んだ。ここでは武田先生の主張を懐疑的な立場から検討している。なかなかいいセンスの表現があったので引用:
変な例えかもしれませんが、万引きをして捕まって反省している人に、「あいつは犯罪者なのだから、詐欺もしているし、殺人もしているはずだ」と言って、それを裏付ける証拠を捏造しているようなものです。
私もこのような「やりすぎ」を認めざるを得ない。しかし、具体的な「反論」の中身を検証しようと調べて見たが、リンク先の参照URLを追いかけても指摘の該当記事がないため、検証を中断した。現在のところは決まり文句で恐縮だが私の結論はこうなる:「リンク先の情報の正しさについては保証できません」。
07.07.17(火)追記:
「武田邦彦ワンダーランド:こんなカリスマはイヤだ [ EP: end-point 科学に佇む心と身体Pt.2」を読んだ。これも懐疑的な立ち位置からの論評だ。私が共感できた部分を引用しておく:
何より武田氏の本を読んでいて痛感したのは、今必要なのは、懐古趣味に走ることでも環境保護に諸手を挙げることでもなく、まず「調査能力を上げなければ」ということなのではないかと。武田氏程度の調査能力でぶちあげられ紹介された各論が、ろくに検証できないこの現状は何なのかと。
「調査能力」と表現されているが、環境問題というのはそもそも調査すること自体が壮大な事業になってしまう分野なので、当然と言えば当然の結論だと感じる。その他、全般的な内容は私がまだ読んでいない本についての記述なので論評しない。いずれ読んだら追加の論評記事を書きたいと思う。
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※2011.07.26(火)00:10追記:
冒頭の誤字(下記)を訂正。
○:「材料工学←×:「源材料工学」
また、関連記事「メモ:武田邦彦氏講演会(福岡県うきは市/2011.07.25(月))」を掲載した。
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