そもそもニートやフリーターは「問題」なんですか
※この記事は本来、逍遥游さんのブログ逍遥的書評に対するコメントとして作成しましたが、先方システムの字数制限(2000文字以内)により投稿できなかったためこちらに誘導しています。「希望のない本「希望のニート」」の続きです。逍遥游さんの「そもそもニートやフリーターは「問題」なんですか」という感覚に対する衝撃が大きかったため、さらに議論をしています。
逍遥游さんのおっしゃるように、逍遥游さんと私の出発点・帰結点は異なっているようです。逍遥游さんの論旨は弱者保護、少数意見、多様性の視点からで、二神氏の主張する50%パラサイトに近いように思います。おそらく、本の主旨にも同意されることと思います。私が展開している主張は日本や国際社会の行く末、少子高齢化、人口問題、雇用問題といった大局的な視点からです。かみ合ってないですね。
現代日本というのはニート醸造樽にどっぷりつかって発酵中ではないだろうか、とさえ感じることがあります。全ての問題は繋がっています。ニートの「問題」はそれ単独で論じる限り出口は見えず、開き直ってしまうしかない。
「働き蜂は働かない5とか10の蜂がいて初めて全体で「働き蜂」」というのは生物が持つ多様性ですが、正規分布のトリックでもあります。働き蜂と同じことは、確かに人間社会でもある場面で起こります。あらゆる集団は一定数のエリート、一定数の平均、一定数のニート・落ちこぼれを生み出すことになります。成績優秀者だけが入学する進学高校でも、入学してしばらくたつと正規分布に従ってエリートから落ちこぼれまでまんべんなく生じるそうです。
問題は、その分布が広がってしまい(標準偏差が大きくなる)、二極化したり、社会全体のアウトプット(生産性)が大幅に落ち込んだりしてしまうことでしょう。働き蜂に喩えると、働かない蜂が5とか10ではなく、20、30、とどんどん増えて行くと、全体として「働き蜂」としての機能が低くなり、やがてある時点から機能しなくなり、組織が崩壊することになります。
ニートという存在はいつの時代にもいただろうと思います。しかし、現在の日本ではその数が「問題に感じない」くらい多くなってしまった。私は、このこと自体が問題だと思います。日本の国際競争力が取り返しのつかないほど低下するのではないか、危惧されます。
また、ニートのようにその人が持っている力を活かせない状態は本当に「問題」ではないのか、本当に幸せな人生なのでしょうか。
こんなことは「余計なお世話」ということになるのでしょう。あくまで個人の視点から論ずる限りは哲学・宗教の問題かもしれない。
私の住む地域の周辺に、「生活保護を受けて何が悪いの?」という人がたくさんいる地域があります。こういった感覚も私とっては衝撃的でした。しかし、長く住んでいると次第に感覚が麻痺しそうで怖い。ニートについても、数が多くなると感覚が麻痺してしまうのではないかと思います。
やはり大局的視点から論じてしまいました。これでは平行線でしょうか。この件について、私自身、まだ思考の整理がついていません。とても大きな問題です。
※06.01.28 追記(ニート関連記事のリスト):
・希望のない本「希望のニート」
・そもそもニートやフリーターは「問題」なんですか
・誤解を与える表現「希望のニート」
・ニートを社会的に助長するべきではない
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Comments
こんにちは、コメント・TBありがとうございました、
こちらからもTBはろうと思ったのですが自宅PCの性能の問題で
遅くなりました。
私は中村さんのいう
>ニート予備軍と思われる「やる気のない若者」
なのかも知れないので、だいぶ感覚が違うかもしれませんね(笑)
ただ、思ったのは、本の中に(特にこんな真新しいニートの問題では)
答え、なんてないんじゃないでしょうかね、
少なくとも僕の本に対する接し方とはまた違ったので興味深く文章拝見しました。
それとこの書評(といってもこの本は未読ですが。。。)は大学のゼミの発表を受けて
書いたものなので、それを皆が共有している
あるいは僕の書いた文章を日々読んでいるという前提で
書いてしまっているので、だいぶ言葉足らずな部分があり、
誤解を招く表現等があったかもしれませんね。
ちなみに大学のゼミのHPは
http://okamurasemi.fc2web.com/
僕のメインのHPは
http://www.geocities.jp/shouyouka/
なのでよかったらご覧になってみてください。
いろいろ書きたいことがあるのですが今からゼミにいってきます。
中村さんが僕のページを見つけたのも何かの縁だと思います、
大切にしていきたいですね、またきます!ほかの方のご意見もぜひ聞きたいところです。
ではひとまず!
Posted by: 逍遥游 | Jun 16, 2005 10:24 AM
コメントおよびあらためてのトラックバックありがとうございました。新たに関連記事を書いています。最新記事よりご覧いただけましたら幸いです。
Posted by: 技術コンサルタント:中村 友一 | Jun 18, 2005 05:51 AM
「大局的視点」というよりも、マジョリティ側という安全な側にいる人が、
安全な場所からマイノリティを批判しているだけに思えますが…
Posted by: ujiki | Aug 17, 2005 01:38 PM
ujiki さん、コメントありがとうごいます。
※カタカナについて、以下、マジョリティ=多数派、マイノリティ=少数派、という意味で用います。
※ujiki さんのコメントを下記の3つの部分に分けて、それぞれコメントさせていただきます:
(1)「私」が「マジョリティ」で、かつ
(2)「私」が「安全な側」で、かつ
(3)「私」が「ニート」を「批判」している。
以下、私のコメントです。
(1)について:
私は脱サラして事業経営しており、自分では「マイノリティ」だと思っていましたので大きな違和感を感じます。どいういう意味で私が「マジョリティ」なのでしょうか。大多数を占める「就労人口」に属しているという意味では「マジョリティ」ですが、そういう意味でしょうか。また、ニート人口は急激に増加しており、10年後には100万人とも予測されています。今後、ニートが「マジョリティ」となる事態も危惧しなければならないと思いますが、ニートが「マジョリティ」となった場合、私は「マジョリティ」でなくなるのでしょうか。
※参考:
NIKKEI NET:景気ウオッチ「増えるニート、成長率の抑制要因に」
www.nikkei.co.jp/keiki/kataru/20041020c77ak000_20.html
(2)について:
事業経営の環境は大変厳しいです。これが「安全な側」とおっしゃるのでしょうか。「安全な側」とは、どういうご主旨でなのでしょうか。何らかの既得権益があれば「安全な側」かもしれませんが、私にどんな安全が保証されているとおっしゃるのでしょうか。
(3)について:
ニートを批判しているというのは、どこの表現を指していらっしゃるのでしょうか。私は、ニートとは「問題の状態」であり「改善すべき状態」だ考え、ニートを無責任に「肯定」すると将来に禍根を残すと主張していますが、ニートの当事者を直接に批判する意図はありませんし、批判してどうなるとも思っていません。
以上、辛口コメントご容赦下さい。もし、言葉遊びでもなく、批判のための批判でもなく、問題解決のためのアイディアをお持ちでしたら、私に可能な具体的な改善策などをご存知でしたら、是非ご教授ください。
Posted by: 技術コンサルタント:中村 友一 | Aug 17, 2005 04:54 PM